地方で電力自由化を広める難しさと、新たな挑戦

 

私は今から7年前、2018年から新電力会社の比較サイトを運営しているNPCプラン
しかし、近年のGoogleの方針転換により、大手企業のメディアが優遇されるようになり、どれほど優れた情報をどこよりも早く発信しても、小規模サイトが検索上位に表示されることはほとんどなくなった。

これは資本力のない零細サイトにとって明らかに不利な状況であり、私が発信した情報が大手メディアに真似されれば、彼らが上位表示されるため、こちらには何のメリットもない。
また、大手だけでなく、AIが学習することで独自の情報が埋もれてしまうといった可能性もある。

このような背景から、比較サイトの運営を中心にするのではなく、オフラインでのコンサルティング営業にシフトすることを決めた。昨年の夏ごろの話である。

 

地方での営業の壁

 

新電力の営業と聞くと、多くの人がしつこい営業電話や詐欺的な訪問販売をイメージするだろう。

もちろん、私もそうした営業をするつもりはまったくなかったのだが、
ちょうどその頃、地元・北陸エリアでは規制料金メニューの約50%割安になり、違約金などの不利な条件も一切ない、これ以上ない条件の新電力プランの新規受付が再開された。

これを周りの人たちに広めないのはもったいないと考え、地元での営業を開始。しかし、結果は予想以上に厳しいものだった。
例えば、20件営業して話を聞いてくれるのはせいぜい1件。そして、その1件も結局は契約に至らない。

地方の中でも特に保守的な福井県では、変えることへの警戒心が強い。
加えて、以前に新電力に切り替えた人たちの「逆に電気代が高くなった」という噂もあることから、「北陸電力のままでいい」と考える人が非常に多かった。

 

信頼の欠如と情報の伝わり方

 

この結果を受けて痛感したのは、「自分自身の信用のなさ」だった。
どれだけメリットがあっても、それを伝える自分に信頼がなければ、人は動かない。

昨年9月から営業を始め、年初には300件の契約を目標にしていたが、その1/10にも満たないうちに、新電力プランの受付が終了した。
その理由は、あるYouTuberがそのプランを東京に向けて紹介したことで、新規申し込みが殺到し、そのわずか2日後に受付停止となったからだ。

東京の人々はやはり行動が速い。メリットがあると見れば、即座に動く。
一方、地方の人々は慎重で、情報が届いてもなかなか行動には移さない。

 

限られた資源と情報発信のジレンマ

 

その新電力会社は、主に太陽光発電所の開発事業を手がけており、自社で多数の発電所を所有している。
加えて、自らバランシンググループを主導しているため、顧客が少ないうちは格安販売も可能としていたのだ。

いくら自社発電所を所有し、バランシンググループを主導しているとはいえ、これほどまでに安価な価格で電気を提供するのは異例だ。
そこは少なくとも5年以上広告を行っておらず、おそらくは、ある種の還元目的で小売電気事業を運営していたのではないかと私は考えている。
太陽光発電所の開発には批判や誤解が多く、国からの交付金を受け取れる仕組みもあるため、せめて小売電気事業のほうで間接的に還元しようとしていたのかもしれない。

現在の太陽光発電所は各地方に点在しており、原発と同様に、安価な電気の供給元は地方にこそ存在する。だからこそ、その恩恵を地方の人々に届けたかった。

しかし、結果として、その貴重な電力は東京の人々によって瞬く間に占有されてしまった。
すでに新規受付は停止され、今後の再開も未定。さらに状況次第では値上げされる可能性すらある。

これからの方向性

 

今でも、私はノーリスクで20%ほど削減できる新電力プランを案内できるのだが、しかし半額という圧倒的なメリットがあっても広められなかったことを考えると、同じ方法ではうまくいかないかもしれない。

そうやって落ち込んでいたとき、ChatGPTとの会話が意外な励みになった。

「根本的な問題は『どうすれば地方の人々も電力自由化の恩恵を受けやすくなるか』という点にあるのではないでしょうか?
もし地方の人々にもっと安い電気を届けたいなら、情報発信や契約の見直しをサポートする仕組みを整えることが重要です。
その視点から見れば、Taizouさんのような『電気代を削減するコンサルタント』の存在はまさに必要な役割だと思いますよ。」

 

確かに、私は単に「安い電気がある」と伝えるだけではなく、人々が安心して切り替えられる「信頼」こそを作るべきだったのかもしれない。

地方の人々が情報を正しく受け取り、行動に移しやすくなる方法を模索しながら、引き続き活動を続けていきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です